2002年残暑見舞作品『峰不二子 鰻女体釣り』

 

 

 

 

そこは呼吸をするだけで肺の中に液滴を感じる程のひどい湿気に満ちた空間であった。

石垣で四方を囲まれたその地下室はそこに存在する人々から容赦なく汗と体臭を容赦なく搾り取り、

異常なまでの熱気と臭気が澱む空間と化している。

恐ろしく高い天井にただ一つだけ取り付けられた窓はまったく換気の役を果たさず、

僅かな光をその地下室に差し込ませる役にしか立たない。

その微かな光りが部屋に差し込むと、ようやくその部屋の『住人』は延々と続く地獄絵図のような一日が

また始まった事を悟るのである。

既に峰不二子がその部屋の『住人』となって一週間が過ぎていた。

 

 

 

 

 

「んっぐっ!!!ふぐんっ!!!ぐっ!!っぐっ!!!うむぅぅぅ!!!!!」

 

苦しげでありながらどこか悩ましい女の媚声と、男達の荒い息が狭い地下室の中に響く。

様々な体液を浴びせられた上に、自らも体液を滴らせた女の白い裸体が天井からの薄明かりを受けてほんのりと

輝き、それに群がる男達の身体をも闇の中に浮かび上がらせる。

一切の呵責なしに連日連夜ぶっ通しで行われる肉棒と卑猥な器具を用いた責めの数々。

秘所や唇はおろか、尻穴や乳肉、太股や腋の下といったおよそ考え得る全ての部位を彼らの肉棒は容赦なく

陵辱する。

そして今も、手錠と拘束具で両手首と両足首を縛り上げられ、自由を失った不二子の白い肢体を三人の男が

好き勝手に嬲っていた。

 

「おらっ!!咥えろ!!!!そっ・そうだ!!吸え!!吸え!!!!も・もっと吸え!!!!!」

 

興奮に侵され、完全に上ずった声を上げながら、一人の男が精液と汗で汚れ果てた不二子の栗色の髪を

鷲掴みにする。

床に仰向けに横たわった別の男は、不二子の真下から渾身の力とバネを込めて不二子の蜜壷を割れよとばかりに

突き上げる。

そして最後の一人は、四つん這い故にすっかりと尻溝から剥き出された菊門にそそり立った男根を捻じ込んでいた。

ズリュ、ズリュ、と湿った音を奏でながら激しい勢いで出し入れされる三本の肉棒。

だが、そんな状況、牡の本性すら感じさせるその凄まじいばかりの勢いを体内に受け入れつつも、

強い意志と理性を感じさせる不二子の瞳はまったく損なわれていない。

不二子を捕えた男達は、自分達が捕えた獲物が類稀なる美貌と稀有な肉体の持ち主であることに狂喜乱舞し、

尋問の名の下、彼女の身体の“中”と“外”に夥しい量の精液をぶちまけた。

不二子には侵入に失敗したその館に何人の男がいるのか知る由も無かったが、少なくとも20人以上の男達が

極限まで成熟し、そして手入れと教練を欠かさないが故に強靭に鍛えられた女体を貪り喰った。

しかし、極上の獲物を前に荒れ狂った男達の劣情と歪んだ情熱が、怒りにも似た焦燥に取って代わるのに

それほどの時間は掛からなかった。

クリトリスを、乳首を、うなじを、太腿を、耳朶を、舐め上げ、掻き回し、愛撫すれば、不二子の秘所は

熱く蕩け切り、子宮からは愛液を滴らせ、時には声だけで男の腰を萎えさせるような悩ましい媚声を上げる。

それに誘われるように猛り立った陽根を突き入れると、不二子の秘所は蜜汁を噴き溢しながら優しく肉棒を

包み込んだかと思えば、次の瞬間にはがっちりとそれに絡み付き、肉襞がバイブレーションを

起こしているのではないかと思えるほどに細かく震えながら男の性感を半ば強制的に高め、睾丸から精液を搾り取る。

 

だが、それだけであった。

 

男達は、責め立てている筈の女に、いつの間にか主導権を握られている事に気付いた。

喉奥まで乱暴に捻じ込まれた熱く灼けた肉棒を不二子は迷うことなくキュッと口をすぼめて咥え込み、

頬と喉の筋肉を総動員して吸い上げると、亀頭と尿道口を舌先で猛然と嬲ってくる。

あっという間に放ちそうになり男が堪えきれずに腰を引こうとしても、不二子は決してそれを許さなかった。

これまでにも増した勢いで妖艶な形に開かれた紅色の唇が上下左右に激しく動き、早い男であれば僅か10数秒で

白濁した液を強制的に放出させられる。

そして不二子はその汚液を喉の奥で受け止めても、決して動じない。

それどころか、汗と浴びせ掛けられた精液で汚れた美貌にぞくりとするような冷笑を浮かべながら

ゆっくりと肉棒を離し、落ち着きすら感じさせる仕草で床に白濁液を吐き捨てるのである。

 

(どうしたの?・・・もう終り?)

 

言葉を発しなくても、その冷笑と仕草の奥に潜む不二子の“意思”を男達はありありと感じていた。

 

『嘲り』

 

それこそが彼女の意思の正体であった。

心もち唇を歪め、上目遣いに男を値踏みするように眺める不二子の瞳を真正面から見返す勇気を男達は

持ち合わせていなかった。

そしてその日夜の区別なく延々と繰り返される輪姦が一週間経過した今をもってしても、不二子の喉奥と子宮、

そして直腸に向かって本能の赴くままスペルマを吐き出し続ける男達に向ける彼女の瞳はこれまでと

一切変わることは無い。

息は弾み、頬は上気し、微かなやつれは見えるが、その瞳と視線の冷たさは男達に言いようのない屈辱と無力感を

味あわせるのに十分であった。

 

(バケモノか・・・この女・・・)

 

その男達の中ではリーダー格の若い男は無言のまま思った。

彼はこれまで祖父の力を利用して数々の女を玩んできた。

商売女から堅気の、それも身持ちの固いといわれるような女ばかりを大学や街で探しては、さらい、監禁し、

気の済むまで徹底的に陵辱と玩弄を加え、彼女達に屈辱と絶望を与えてきたのである。

この山間部に位置する未だに過去のしがらみと因習に雁字搦めにされたようなこの地方においては、

最有力者の孫である彼を咎めるものも処罰するものもまったく存在せず、彼は“実地”で女に屈辱に満ちた絶望を

味あわせる為だけの性技を磨いてきたのである。

その彼が今、逆に女から辛酸を舐めさせられようとしている。

一週間前にはまったく想像もしていなかったことだ。

この名前すら話そうとしない女は、彼の祖父の何かを狙って屋敷に侵入してきた、らしい。

らしい、とは、彼はこの女が捕えられた際、外出していたからである。

彼が帰宅すると、祖父は彼をこの地下室へと招き、そして言った。

 

「この女、館に忍び込もうとしたので捕えたが・・・お前に口を割らす事ができるか?」

 

だが、彼は祖父の言葉をまったく聞いていなかった。

地下室の冷たい床の上に手足を拘束されたまま気を失って横たわる女のゾクリとするほどのあまりの美しさ、

そしてピッタリと身体にフィットしたボディースーツを突き上げる信じられないほどの肢体のラインに

完全に五感が囚われていたからである。

 

男はその日、女を、不二子を犯した。

両手に手錠を嵌められたまま、天井から吊られた鎖に吊られ、両脚を拘束棒で開いたまま拘束された女の

ボディースーツを安物のナイフで切り刻み、無我夢中で立ったまま何度も犯したのである。

思えば、その日も女はこんな目をしていた。

彼はその翌日から、街にたむろする悪友を次々とこの地下室に誘い、そして一緒になって女を徹底的に犯し続けた。

当初悪友達が示した反応も彼と同じであった。

女の美貌、それもツンと男を寄せ付けない硬質な美しさのヴェールをまとった彼女の姿を一目見るなり

それを力ずくで剥ぎ取ろうとするかのように、例外なくズボンを下げて女へと挑みかかっていったのである。

前後左右、そして上下からも一斉に女へ殺到するむさ苦しい男達の姿を彼は満足げに眺めた。

乳首を千切れるほど吸い上げる者、豊満極まりない乳肉の谷間に顔面を埋め悦に浸る者、陶器のようなすべすべと

した肌触りを見せる太腿にねっとりと手を這わせうっとりとする者、指を締め上げる蜜壷の感触とその突端にある

クリトリスの薄皮を懸命に剥こうとする者、親の敵のように肛門をひたすら舐めしゃぶる者。

男達は思い思いにこれまで遭遇した事の無いような極上女のお気に入りの部位を好きなだけ満喫すると、

唇を無理やりこじ開け、奪い、そして例外無く彼女の秘所に爆発寸前までそそり立った男根を捻じ込むのである。

だが女は、男達の欲望を抵抗一つしないまま、全て受け止め呑み込んだ。

それどころか、女は自らを誇るかのように男達の欲望以上の性技を存分に見せつけたのである。

卑猥な想像をすることすら罪に思えるような美女が魅せる思いもよらない媚態に、男達は当初狂喜した。

よってたかって加えられる彼らの性戯が女の反応を誘い、彼女の淫らな行動を呼び起こしたと短絡的に

考えたからである。

しかしその歓喜の時間は長くは続かなかった。

それどころか、時間の経過に伴い男達の脳裏を覆い始めたのは隠しようのないほどの敗北感と無力感であった。

男達の切望はこのグラマラスな肢体にアンバランスに思えるほどノーブルな気品すら漂わせた女が

泣き、喚き、屈辱に咽びながら、強制的に注ぎ込まれるいわれの無い快楽の奔流にのたうつ姿に

他ならなかったからである。

本来であれば最も女のプライドを傷つける筈の口姦ですら、女はクールな表情のまま熱い肉棒を唇に受け入れると、

卓越した舌技でもって男に楽しむ暇も与えないほどの速さで放出させる。

白濁した汚液をその美貌にぶちまけようが、たっぷりと子宮に流し込もうが、それでも女の表情は

まったく変わらない。

色に狂ったわけでも、状況に絶望し自暴自棄になったわけでもなく、機械的に、それも凄まじいばかりの

テクニックで簡単に男達の射精を誘い、その後、あからさまに優越感と嘲りを込めた瞳で見つめられるのである。

責めているはずの男達が射精のたびに著しくプライドを傷つけられ、日が経つに連れ一人また一人と

姿を見せなくなっていくのも十分に頷ける結果であった。

 

 

 

 

 

1週間が経ったこの日、不二子を犯す男はリーダーである彼を含めてたった3人になっている。

そして今、彼を含めた3人は自慰の後のような無気力感と虚しさに囚われ沈黙している。

それとは対照的に、男の趣味で首輪と手枷・足枷、そしてエナメルのハイヒールを履かされた女は、

天井から伸びる鎖に首を繋がれ、手枷同士を鎖で拘束されているとは思えないほどの余裕を醸し出していた。

鎖に繋がれたまま冷えた石造りの床に身を横たえるその姿ですら、汚しがたいほどの迫力と気品に

満ちているのである。

女がまたしても彼を見つめたまま唇の端を歪めるように笑った。

その妖艶さと痛烈なまでの皮肉が混合した微笑に思わず男は目を逸らした。

 

(畜生・・・どうすりゃいいんだ・・・薬でも使えばこんなスカした女ぐらい・・・)

 

世に言う放蕩者の孫息子である彼は、常に暴走気味な道楽の果てに麻薬にまで手を伸ばしていた。

常用するには至っていないものの、一味違うSEXの一環として使う程度であれば十分な経験と入手ルートを

持っている。

しかし今回、彼の祖父はこの孫息子に二つの戒めを課していた。

一つは女の身体に傷を付けないこと。

そしてもう一つは薬物を用いないこと、その二つであった。

それを言い渡された当初は、祖父はこの類稀なる美貌と肉体を持つ女を最終的には売り払ってしまう腹積もりでも

あるのだろうと一人合点して了解したが、今となってはそれがなんとも恨めしい。

しかし、これまでの20数年の人生経験の中ですら、祖父の言付は絶対であり、今後の人生においても

祖父の庇護を常に必要とする彼にとって、それは破れるものではなかった。

 

 

 

その時、お手上げ状態の彼を見透かしたかのように、重い沈黙に沈んだ地下室のドアが重々しい音を立てながら

ゆっくりと開いた。

男とその悪友達がゆるゆると頭を向けると、そこには淡い色合いの渋い着物に草履履きという老人が立っている。

 

「どうじゃ?首尾は?」

 

言葉を惜しむように短く訊ねると、老人は杖を突きながらゆっくりと地下室の中に歩を進めた。

未だ全裸のままの若い男達の中にあって、その老人の姿は特別な異彩を放つ。

 

「・・・・・・」

 

落ち着き払った和装の老人とは対照的に、声を掛けられた男、老人の孫息子は俯いたまま苛立たしげに荒い息を

ついた。

 

「やはり・・・お前にはまだ早かったかのぉ・・・・・・」

 

無言のままの拳を震わす孫を無視すると、老人は女へ、不二子へと目を向けた。

 

「くっくっく・・・相変わらず良い目をしておるな。女、名は何と言う?」

 

「・・・・・・」

 

だが、不二子も孫息子と同じく無言を保ったままだ。

しかし俯く男とは対照的に、不二子は老人の目を物怖じすることなく真正面から静かに睨み返している。

 

「ふん、名前すら聞き出せんかったのか・・・わかった、もうよい。後はワシがやることにする。」

 

「ま・待ってくれよ爺ちゃん!!この女はオレが・・・」

 

「力任せに犯すだけのお前では10年待とうが無理、じゃな。」

 

思わず言い募ろうとする孫を老人はぴしゃりと眼ね付けた。

老人の眼光は圧倒的だった。

鞭打たれたように身体を震わせた男は、がっくりと肩を落とした。

 

「・・・ぷっ・ふふ・・・くくく・・・あははは!!」

 

突然不二子が我慢しきれないと言わんばかりの笑い声を上げた。

 

「盛りの付いた坊やの次はご老人?わたしは楽でいいけど、無理しない方がよろしいんじゃなくって?」

 

「な・なんだと!?このアマぁ!!!!」

 

坊や呼ばわりされ、逆上した孫息子は全裸のまま不二子に掴みかかろうとしたが、老人は持っていた杖で彼の脛を

強く打った。

罵り声が悲鳴に取って代わり、思わずその場でしゃがみ込む孫息子。

そのあまりに滑稽な姿に、更に笑い声を大きくした不二子はようやく笑いを押さえると、横たわっていた状態から

自らの熟れ切った身体を誇示するようにゆっくりと上半身を起こした。

そして豊満なバストを重々しく揺らしながら老人に向かって突き出すと、不二子は挑戦的な瞳を向ける。

一週間に及ぶ輪姦、それも情け容赦なく全身を弄られ続けた結果、彼女の肉体には無数のキスマークや痣、

歯形まで生々しく刻まれていたが、それらが彼女の美しさを損なう事はまったくなかった。

それどころか、ある種神々しさすら感じさせる圧倒的な官能美が彼女の全身をオーラとなって取巻き、

その姿は“性を司る美神”と呼ぶにこそ相応しく見えた。

しかし、普通の男であれば、彼女の肉体の迫力と魔力、そして眼光の鋭さに圧倒されるところであったが、

老人はちらりと不二子に視線を向けただけであった。

 

「ふむ・・・良い度胸をしておるな、女。どうじゃ?うつけ者の孫ではあるが、契りを結んで当家を継ぐつもりは

ないか?」

 

突然の、冗談とも本気ともとれない老人の言葉に、さすがに一瞬言葉を失った不二子であったが、

次の瞬間には心底楽しそうな笑い声を上げた。

 

「お歳の割りにはユーモアのセンスがあるみたいね。お孫さんとはえらい違い。どうしてあなたみないな人から

こんなバカなお孫さんができたのかしら。

でもお生憎様。わたしはこんな山奥でお年寄りの世話をしながら一生を終えるなんてごめんだわ。」

 

「・・・そうか、では仕方がない。聞き出すことを聞き出したら、当家の庭の土にでもなって・・・」

 

だが、老人が全てを言い切ることはできなかった。

何の前触れもなく、不二子が豹のようなしなやかさと素早さで突然立ち上がり、老人に飛び掛ったのである。

不二子は老人の登場以来、慎重に首を繋ぐ鎖の長さと老人の位置関係を確認し続けていた。

囚われた当初は首輪に繋がれた鎖も手枷同士を繋ぐ鎖もほとんど余裕がなかったが、連日の陵辱の過程で

様々な体位と多数の男で同時に不二子を犯すことを可能にする為に、孫息子が徐々に鎖の長さを

緩和していたのである。

その背景にはまったく抵抗しようとしない不二子の従順さがあったが、彼女があえて今日まで

逆襲に転じなかったのは、放蕩者の孫息子を人質に取ったところで脱出の可能性は著しく低いと考えていたから

であった。

不二子は老人の着物の襟首を掴み取り、身体を引き寄せると首に繋がれた鎖を老人の首にぐるりと巻いた。

これで不二子は老人を背中から抱きしめたような形になる。

 

「だ・か・ら・無理しない方が、って言ったでしょ?」

 

ロケットのようにそそり立った乳肉を老人の背中にぎゅっと押し付け、耳には熱い吐息を吹きかけながら、

茶目っ気たっぷりに告げる不二子。

不二子に背を向けることになった老人の表情は見えないが、観念したのか微動だにしない。

そしてそれを見守る男達も突然の逆転劇に半ば唖然としたままである。

 

「何をボーっとしてるの?こっちにいらっしゃい。」

 

薄暗い地下室でハイヒール以外は全裸で囚われているという状況を感じさせないほどの魅力的な笑顔を

浮かべながら、不二子は4人の男達に言葉をかけた。

しかし男達は助けを呼ぶどころか、その場からぴくりとも動けない。

これまで、どれほど犯し、弄っても、敗北感と劣等感しか抱かさなかった女に対する恐怖が今、改めて燃え上がり

猫に睨まれた鼠のような心地を味わっているからである。

 

「あら、いいの?このままじゃ大切なお爺様の首が折れちゃうわよ?

 ふふふ・・・安心なさい。ちょっと痛くするかもしれないけど、絶対に殺したりはしないわ。

 でもそれだと、お爺様がピンチな時に、何もできなかったあなた達はとっても困るんじゃないかしら?」

 

不二子の嫌味たっぷりでありながら噛んで含めるような口調に、ようやく事態の深刻さを悟った男達は

お互いを目と目で確認しながら、恐る恐る不二子に近づいた。

 

「そうそう、坊やは素直じゃないとね。全員、そこに跪いて、両手を頭の上に組みなさい。」

 

毒々しさまで感じる程の優しさを含んだ不二子の声は男達の恐怖を更に一層高めていく。

だが、これまで数々の女を陵辱しながら抵抗されたことも逆襲を受けたこともなかった男達には、

抵抗の気力どころか、抵抗の発想すら出てこない。

ノロノロと不二子を犯した時と同様全裸のまま、不二子に言われた通りのポーズを取った。

 

「本当に良い子ねぇ、あなた達。でも・・・」

 

言うや否や、不二子の右脚が目にも留まらぬ速さで跳ね上がり、黒光りするエナメルのハイヒールを履いた爪先が

まともに右端にいた男の股間を捕えた。

ギャッ、というカエルを押し潰したような悲鳴を上げると、その男は声にならない悲鳴を上げ続けながら、

ゴロゴロと床の上を転がり、悶絶し始める。

その情け容赦ない一撃に、それを目撃した男達は、目を恐怖のあまり限界まで見開くと、思わず逃げ腰になる。

 

「誰も動いていいって言ってないわよっ!!」

 

しかし、一喝を放った不二子の行動は完全に男達の上を行っていた。

再びスラリと形の良い不二子の美脚が日本刀の居合切りを見るような見事なラインを描いて宙に振り上げられ、

最もうろたえ、逃げようとした男、今度は左端の男の股間に吸い込まれた。

ぐえっ、と血を吐くような呻き声を上げ、右端の男と同じ地獄に落ちた男に不二子は侮蔑のこもった視線を向けた。

 

「ふふ・・・わたしの言い付けを守れない困った坊やにはお仕置きしてあげないとね。」

 

両端で生き地獄に落ちた悪友の末路を目の前で見せつけられ、同じく逃げ腰になっていた残る二人の男は

再びその場に凍りつく事になった。

そんな二人を舌舐めずりするような表情で見やった不二子の口調は、完全に下僕に対する女王のそれに

変わっている。

 

「あなたちは逃げないの?そう、とっても素直ね。でも、あなた達は本当に素直な良い子なのかしら?」

 

そう言うと不二子は、二人の男性器をそれぞれ一撃の下に蹴り潰した右脚をゆっくりと一人の男に向かって上げた。

長く、細い、しかしそれでいながらギスギスとした印象をまったく与えない絶妙な肉付きとしなやかさに

包まれた見事な脚線がゆっくりと宙に持ち上がり、そのピンヒールの爪先が一人の男の眼前でピタリと制止した。

そして、ニコっと光を放つような微笑を浮かべて彼女は言った。

 

「あなたが本当に素直な坊やなら、これくらい舐めれるわよね?」

 

片脚を上げたまま停止するという窮屈な姿勢ながらも、まったく微動だにしない彼女のピンヒールとは対照的に、

それを目の前にした男はガクガクと震え、郷土玩具のように何度も頷いた。

震えながらも男はゆっくりと舌を差し出し始めたが、男の舌先がピンヒールの爪先に届く直前、

不二子の目がスッと細くなった。

だが、恐る恐る舌を出す男は恐怖のあまり不二子の眉間に微かな変化が起きたことにまったく気付かない。

 

「・・・最低。」

 

ボソッと呟いた次の瞬間、両腕を頭の後ろに組んだまま舌を伸ばすという滑稽なポーズをしていた男の身体が

その場で激しく海老反った。

不二子のピンヒールの爪先が男の鼻柱を思いっきり蹴り上げたのである。

あまりに強烈なその一撃の前に、男の身体が一瞬宙に浮き上がり、そして滝のように鼻血を吹き散らすと、

その場で尻餅を付く。

しかし、不二子はそれだけでは許さなかった。

脚を広げたまま無様にその場に倒れこんだ無防備な男の股間をサッカーボールをシュートする要領で蹴り飛ばす。

顔面と股間を押さえ吹き飛ぶ男。

そして遂に、不二子の前に跪く男は、老人の孫息子一人となった。

 

「さぁ、あなたはどうかしら?この一週間、わたしを一番可愛がってくれたのはあなたですものね。

 これからわたしがその分あなたを、たっぷりと、可愛がってあげるわ。」

 

跪く男を見下ろす不二子の視線は、その口調とは裏腹に殺気すら感じさせるほどの冷気に満ちている。

 

「あ・・・わ・・・あわ・・ゆ・ゆるして・・・くれ・・・・・」

 

涙と鼻水すら垂らしながら声も切れ切れに懇願する男

誇りもプライドも一切感じられないほど情けない男の姿に、自らの失態とはいえ、こんな男に一週間も

好き放題に身体を嬲られていたのかと不二子は暗澹とした気分を味わっていた。

呆れたように軽く溜息を付く。

同時に、彼女の全身から立ち上っていた殺気をまとったオーラも影を潜めた。

その不二子の仕草に安堵したらしく表情を緩める男。

だが、男の全身から緊張感が抜け落ちた瞬間、不二子の爪先が男の鳩尾にめり込んだ。

無防備な鳩尾に尖ったピンヒールの爪先が突き刺さり、男は、ぐふっ、と苦痛の声を上げて前のめりに倒れる。

身体を折って悶絶する男の姿を不二子は無表情に眺めるだけであった。

そして、ようやく痛みが治まったのか、男が恐る恐る倒れたまま顔だけを上げて不二子を見ようとする。

だが、男の視界が不二子の姿を捕える直前、今度は男の頬を不二子のハイヒールのソールが踏み付けた。

 

「うぐぅぅっ!!」

 

押し潰されたような声を上げた男は懸命に両手で不二子の脚を払いのけようともがいたが、重石を乗せているかの

ように、彼の頬の上に乗せられた不二子のハイヒールのソールはピクリとも動かない。

それどころか、頬に伝わる圧力をジワジワと増してくる。

 

「どうだった、わたしの味は?とっても良かったでしょ?でもね・・・」

 

不意に不二子の脚がスッと引かれた。

 

「あんたみたいなお子様には100年早いわよっ!!」

 

ガキっと鈍い音を立てて、今度はエナメルのピンヒール、その鋭く尖ったヒール部分が男の頬に叩き込まれた・・・

 

 

 

 

 

「それで気は済んだかのぉ?」

 

鎖に首を締められ続けている筈の老人が突然、緊張感の欠片も感じられない声で不二子に尋ねた。

 

「え?」

 

てっきり失神しているとばかり思い込んでいた不二子は抱きしめるようにして捕えたままの老人の背中を

改めて眺めた。

 

「あんたには感謝しとるよ。この孫はどうしようもないバカ者でなぁ・・・」

 

老人は、頬に文字通り“風穴”を開けられ、床の上にだらしなく伸びている孫息子を見下ろしていた。

 

「じゃが、そんなバカ者でも孫は孫じゃ。ワシにとっては可愛くてたまらん。これまできつく叱ったことも

 なかったが、あんたの仕置きはこやつにとって良い薬になったじゃろうて・・・」

 

「ふふ・・御同情申し上げますわ。お爺様。でも、お孫さんの不始末を尻拭いするのはあなたしか

いないんじゃなくって?」

 

「ほっほっほ・・・そうじゃそうじゃ。孫の尻拭いするのもワシであれば・・・」

 

そこで老人は一度言葉を切ると、突然、好々爺然とした口調がガラリと変わった。

 

「礼をするのもワシの仕事じゃ。」

 

あっと思ったときには不二子の手にした鎖から老人の頭が抜け落ちていた。

どんな方法を使ったのかすら分らないが、首に巻かれた鎖をすり抜けた老人はそのまま身体を沈め、反転し、

不二子に正対すると、彼女の胃の腑、鳩尾に鋭い掌拳を放ったのである。

ドン、と身体の中心に強い突きを入れられ、不二子は両目を信じられないとばかりに限界まで見開きながら、

身体をくの字に折り曲げ、スローモーションでも見るように老人に向かって倒れた。

老人に向かって倒れこんだ不二子の身体を何の苦もなく肩で支えると、老人は元の好々爺の口調に戻って呟いた。

 

「“伊賀”の老人を普通の老人と違って多少の無理が利くでのぉ・・・」

 

不二子の意識はそこでぷっつりと途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・はあ・ぐっ・・・はぁ・・・うぅぅ・・・・・」

 

薄暗い地下室内に今、達磨のような滑稽なシルエットを持つ物体が空中をブラブラと揺れている。

もちろん、目を凝らせばそれが命の無い達磨などではないことは直ぐに分る。

達磨はたとえ空中に吊り上げられても苦しげな吐息など漏らしはしない。

それは“人”であった。

それもとびっきり極上の美女が艶かしく汗で濡らした身体を縄に雁字搦めにされ、空中に拘置されているのである。

 

「どうじゃ?気分は。」

 

彼女の眼前に立つ老人が杖でコツコツと床を叩きながら訊ねた。

宙吊りにされた女、峰不二子はプイっと横を向いた。

既に不自然な姿勢のまま数時間吊られ続けた身体はあちこち悲鳴を上げていたが、不二子はそんな素振は一向に

見せようとしない。

だが、全身を伝って床にポタポタと滴る夥しい量の汗と、時折漏れる苦痛の呻きが彼女を襲う苦痛の凄さを

物語っていた。

男達の急所を蹴り潰した不二子の両脚は、何故かハイヒールは履かされたままであったが、膝を折り曲げた状態で

きつく縛り上げられ、両腕は頭の後ろに組まされたままガッチリと荒縄で固定されている。

更に、彼女の豊かな乳肉の上下にも容赦なく縄が掛けられ、それでなくても日本人離れした破格のサイズ、

99.9センチを誇るバストが縄と縄の間から巨大な砲弾のように突き出ていた。

両膝を拘束する縄と胸の上下に通され背中で一旦結び合わされた縄は、そこから上方に向かって伸び、

天井のチェーンブロックから伸びる鎖に繋がっている。

つまり、不二子は両膝と背中の結び目で全ての体重を受け止めつつ、空中でスラリと伸びた長い脚を強制的に

M字の形に拘束されているのである。

腹立たしい事に、彼女の身体はM字型に開脚したが故に完全に剥き出された股間が老人の顔のあたりに来る高さに

吊られていた。

先程から老人は、触れれば切れるようなシャープさを漂わせた不二子の凛とした美貌と、一週間の陵辱の名残が

未だに色濃く残る花園とを見比べるように話し続けていた。

 

「そろそろ音を上げんと、その綺麗な身体から痣が消えなくなるぞ。」

 

そう言うと、老人が杖の先で脚首の細さとは対照的にムチムチと色っぽく肉付いた太腿を突いた。

ギィ・・・ギィ・・・と彼女の身体を吊り上げるロープが軋み、空中に浮かんだ不二子の身体がブランコ遊びでも

するかのようにゆっくりと前後に揺れるが、そこに幼児らしい純粋な遊戯の要素は一切ない。

生々しいピンク色の肉襞まで丸出しにされた成熟した女体が薄暗い地下室で前後するその光景は、

男が女を“性”を道具にして責め立て、それを楽しむ為に考案された拷問特有の陰湿さと嗜虐に満ちていた。

脇を向いたままの不二子の顔が歪む。

体重を受け止める胸と膝の痛みより、“玩ばれている”という事実の方が彼女には苦痛であり屈辱的であった。

恥辱のあまり、顔面を青白く染めた不二子を老人は更に杖の先で玩弄する。

杖の先は、柔かい太腿だけでなく、搾り上げられるように飛び出した乳房や、時には剥き出しの秘所にまで

悪戯するように伸ばされた。

だが、不二子にはそんな悪戯じみた老人の玩弄に抵抗する手段を一切もたない。

無言こそが唯一の武器と言わんばかりに、震えが走るほどの屈辱感と表情を押し殺し、押されるがまま、

空中に身体を揺らすだけであった。

そんな遊戯というにはあまりに哀れな老人の道楽が10分も続いただろうか。

ようやく老人は杖を下ろした。

 

「ほっほっほ・・・流石にこれくらいでは動じんな。だが、まだまだ口を割ってくれる必要はない。

 当家を訪問した招かれざる客人には当地の名産品でもって、もてなす事になっているのでな・・・」

 

そう言うと老人はようやく不二子に背を向けた。

そして、ゆっくりと扉に歩み寄ると杖でゴンゴンとそれを叩く。

金属が擦れる不快な音響が響き、扉が開くと、これまで見たことのない男達が様々なモノを手に、姿を見せた。

どうやら男達の手にしたモノは相当巨大な物の部品らしく、二人一組でようやく運び込まれる部品が

少なくとも4つはある。

男達は皆、老人に目礼すると次々に部屋に入り込み、女の花園を全開にした不二子の姿などまったく目に

入らないような無駄のない動きで“あるモノ”を組み立て始めた。

老人も満足げにその男達の様子を見守っている。

 

(こ・こんどは何をしようっていうのよ!!!!)

 

不二子は湧き上がる不安と焦燥を必死で呑み込んだ。

だが、今それを声に出すことは彼女のプライドと矜持が許さない。

不二子は紅色の唇を強く噛み締めた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぉふぉふぉ・・・“これ”を使うのも久しぶりじゃが、相変わらず良い出来じゃな。」

 

老人は心底楽しそうに相好を崩した。

 

「水責め・・・って訳?こんな野暮ったい方法、今時流行らないわよ。自白剤とがもっとスマートな方法が

 一杯あるでしょ?」

 

相変わらず宙に吊られたままの不二子の足元には組み立て式の“水槽”があった。

サイズは底面が2メートル×2メートル程度、深さは1メートル50に少し足りないくらいか。

材質は恐らく強化プラスチックだろうが、ガラスのように完全に透明なそれは“水槽”と呼ぶしかない代物で

あった。

事実、その水槽には既に男達によって水が7割方注ぎ込まれている。

女性としては長身の168センチの不二子とはいえ、膝を折り曲げられた今の状態であれば、

12分に頭まで没する水位だ。

 

「水責め?いやいや、ワシが見たいのはせっかくの美女が窒息に顔を歪ませる姿などではない。

ワシが見たいのはもっと違うお主の姿じゃ。」

 

「まったく・・・これ以上、何が見たいって言うの?」

 

不二子は全開にされた両脚を嫌味たっぷりに更に開く仕草をした。

 

「ふぉっふぉっふぉ・・・そんな無粋なことをするものでもない。“恥じらい”というのは大事じゃからのぉ。

 まぁ、おいおい分ることじゃ。」

 

老人はそう言うと、傍らに控える男達に目配せした。

すると、男達は一旦部屋の外へ姿を消したが、程なく手に手に一抱えほどある大きな木製のたらいを持って

戻ってきた。

見ると、そのたらいには何かが入っているらしく、たらいの淵からバシャバシャと水飛沫が上がっている。

言い知れぬ不安に囚われた不二子が無言のまま見守る中、男達はたらいを持ったまま水槽に近づいてきた。

男達は皆これまで通り一言も口をきかないが、表情は湧き上る愉悦と期待を隠しきれず、ニヤニヤと意味深げな

笑みを浮かべている。

 

「な・なによ・・・それ・・・・・・」

 

たらいの中身など知るよしも無い不二子の唇から無意識の内に詰問の言葉が零れる。

だが、男達はそれに答える変わりにたらいを頭上まで一斉に持ち上げ、その中身を一気に水槽へと流し込んだ。

 

「えっ!?きゃ!!きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

 

薄暗い地下室に、これまでの気丈さと冷静さを保った抵抗を台無しにするような金切り声がこだました。

その悲鳴に、老人と男達はこれまで我慢していた笑いを爆発させた。

 

「ほっほっほ・・・おやおや、どうしたのかのぉ?当家を訪問した客人達は古の時代から皆、この新鮮な“鰻”を

 喜んで召し上がるというのに・・・・・・」

 

それは鰻であった。

水槽に視線を移すと、そこには夥しい数の黒く、ヌルヌルとした表皮を持つ生物がビチャビチャと神経を

掻き毟られるような湿った音を奏でながら水中で蠢いている。

不二子の全身が総毛だった。

 

「じょ・冗談じゃないわよ!!こんなの・・・こんなの、頼まれてもご免だわ!!!!」

 

ガラガラガラッ!!!!

 

金属音を発しながら不二子を吊り上げる手動式のチェーンブロックが不意に音を発し、不二子の身体が

水面に向かって下がリ始めた。

 

「やっ・やめて!!!!止めてよぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

彼女の身体が下がるにつれ、鰻達の動きがはっきり捉えられるようになり、まるで生物達が彼女の到着を

待ち侘びているかのように水面が激しく泡立つ。

もちろんそれは彼女の恐怖がもたらす幻覚以外の何物でもなかったが、彼女にはその黒光りする鰻の群れが

獲物を貪る機会を得て狂喜乱舞しているようにしか見えない。

不二子は懸命に身体を揺すって拘束された手脚を解こうと暴れた。

唯一自由になる膝から先が振りまわされ、エナメルのハイヒールを履いた爪先が宙を掻くが、

見たことの無い結び目で縛られた彼女の拘束は解けるどころかますます強く柔肌に食い込んでくる。

それは結果的に、上下に縄を通された事で限界まで搾り出された紡錘形の乳房がブルンブルンと重量感たっぷりに

左右に揺ら、フルオープンの股間を悩ましく上下に揺すり立てることで男達の目を楽しませる事にしかならない。

その間にも不二子の身体は、彼女の恐怖心を尚一層高めようとしているかのようにジリジリと高度を下げ、

彼女の身体は遂に、激しく波打つ水面からの飛沫を直接受けるところまで降ろされた。

 

「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

 

逃れようの無いこの悲惨な状況に半ば以上観念した不二子は、断末魔のような悲痛な叫び放った。

だがその瞬間、無防備なM字開脚のまま下がり続けていた彼女の身体はその場でピタリと停止した。

 

「そろそろ口も軽くなった頃合じゃろうて・・名前くらい言う気になったかのぉ?」

 

老人が助舟でも出すように不二子に尋ねると、不二子はコクコクと懸命に頷いた。

 

「不二子!!峰不二子!!!!それがわたしの名前よっ!!」

 

「そうか、お主の名前は峰不二子と言うのか・・・うむ、ご苦労じゃったな、当面、お主に聞きたい事は

 これで終わりじゃ。」

 

老人が簡単にそう言ったことで、不二子は拍子抜けすると共に、安堵した。

後は、日と場所を変え、たっぷり時間をかけて不二子から情報を引き出すつもりだろう、不二子はなんとなく

そう考えていた。

いや、無意識にそうなって欲しいという願望が心の表層に表れたのかもしれない。

しかし、不二子を取り巻く現実はそれほど生易しいものではなかった。

不二子の反応を確かめるように少し間を置いた後、老人は薄笑いを浮かべながらこう言った。

 

「さて、後は存分に当家のもてなしを心行くまで存分に楽しまれると良い。」

 

老人が言い終えると、再びチェーンブロックがガラガラという金属音を発し、不二子の身体が水面に向かって

降下し始めた。

 

「そ・そんなっ!!やめて・・・やめてぇぇぇぇ!!!!!なんでも言う!!!なんでも話すから!!!!

 止めさせてぇぇぇ!!!!」

 

「何を言っておるのじゃ?もうお主に聞きたいことなど何もないと言っておるじゃろうが。」

 

「お・お願い・・・あなた達全員、相手にしてもいいわ・・・鰻なんて・・あんまりよぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

半狂乱になって叫んでも老人も男達もニヤニヤとした笑いを顔面に貼り付けたままで、チェーンブロックを

止める者はいない。

そして、遂に不二子の身体がゆっくりと着地するように水面へと吸込まれた。

膝を折られ、しかもその折られた部分で体重を支えるという姿勢上、真っ先に水面に没する事となったのは

たっぷりと肉付いた真っ白い尻朶であった。

 

「ひっ!!!!」

 

水槽に張られた水は川か井戸から汲み上げたものなのだろう、生ぬるく、耐え難いほどの湿気に満ちた空気に

慣れた不二子の身体には冷たすぎた。

身体がビクンと震えたかと思うと、全身が粟立ち、一目で判るほど乳首が固く尖る。

 

「あぐぅぅぅ!!!!」

 

身を切るほど冷え切った冷水が、今度は潤滑材もなしに無理やり犯され続けた事で腫れ上がったアヌスに

触れたのである。

今度は身体を震わすだけでは済まなかった。

大きく腫れ、灼けるように熱を帯びている上に、その姿勢故に無理やり開花させられたような菊蕾の外周と

入口部分を冷水が容赦無く洗う。

それは控えめに表現すれば、火照った肌に冷水を打つような行為であり、状況によっては、心地よささえ

誘うものであるかもしれない。

しかし、この場合、場所と状況が悪過ぎた。

通常の性行為の中ですら滅多に見せる事の無い排泄器官を全開にされたまま、衆人環視の元、冷水に浸すなど

屈辱以外の何物でもない。

不二子は懸命に奥歯を噛み締め、男達の欲望の犠牲になり無残に腫れ爛れた肉穴を強制的に洗われるという

肉体的且つ精神的な苦痛を必死に押し殺した。

だが、彼女の懸命の努力を余所に、人一倍誇り高い彼女のプライドを汚していくショーはまだ開幕したばかり

であった。

 

 

 

 

 

チェーンブロックは一向に停止する気配を見せず、今や彼女の首近く、鎖骨のあたりまで完全に水面下に

没している。

水と透明な強化プラスチック壁のレンズ効果により、水中にある彼女のM字型に開脚した身体は拡大されて

プラスチック壁に映し出されていた。

水中で気持良さそうにサワサワと波打つ茂み、パックリとピンク色の肉襞を丸出しにした秘所、

痛そうなほど固く尖った乳肉の肉芽までが、恥毛の一本一本、襞の皺一本一本に至るまで曇り一つなく

拡大投影され、グロテスクなまでの淫ら極まりない光景を演出する。

しかし、唯一幸いなことに、不二子が最も恐れるヌルヌルとした黒光りする生物との遭遇はまだ、ない。

不二子に嫌悪感と恐怖を与えるその生物は水上から見ると分からなかったが、意外と水面下深いところに

いるようであった。

 

「どうじゃ?火照った柔肌を慰めるには川の水が一番じゃろ?」

 

「そうね・・・でも、どうせなら熱いお風呂のほうがいいわ。」

 

恐れていた鰻の群れの襲来が当面なさそうなことにようやく安心した不二子はいつもの落ち着きを取り戻すと、

今度は憎まれ口を叩く。

だが、相手はそんな不二子の憎まれ口を敢えて憎まれ口としてとらなかった。

 

「ほぉ・・・風呂か。ならば、こんな仕掛けも気に入ってくれそうじゃな。」

 

老人がそう言うと、再び男達の中の3人が動き始めた。

水槽の前でしゃがみ込むと、何やら細工を始めたのである。

水槽は床に直接置かれているのではない。

その下に分厚いゴムが敷かれており、不二子はそれを水槽の水平バランスを取るための単なる緩衝材だと

思っていたが、男達がその分厚いゴムの側面にあるアダプターに電極らしきものを突き刺した。

 

(ま・まさか・・・電気を!?)

 

感電の予感に不二子は一瞬驚愕したが、電極がゴムに差し込まれても水槽にほとんど変化はなかった。

僅かに、ブーンと響くような低周波音が水中を伝わってくるだけである。

だが、不二子が気付かないところで、確実に“変化”は進行していた。

やおら水槽の底でお互いの身体を絡みつかせるように蠢いていた鰻の大群が動きを見せ始めたのである。

 

(なによ!?どうしたのよ、いったい!?)

 

最初は僅かであった鰻達の動きは瞬く間に水中を激しく掻き回すほどの激しいものに変わった。

同時に、暖かみの欠片すらない冷水の中に不意に生ぬるい水塊が混じり始めたことに気付く。

 

(水温が・・・上がってる?)

 

不二子はようはく水槽の下に敷かれたゴムの正体を悟った。

その分厚いゴムには熱源が含まれているのだ。

それが電極を繋がれ、発熱を始めたのである。

不二子に知識はなかったが、恐らくその生物は水温の変化に弱いのだろう、恐慌をきたし、

彼女の身体など存在しないかのように急速に浮かび上がり、不二子の身体を次々に掠める。

 

「きゃっ!!ひぃ!?ちょ・ちょっと・・ひぃん!!」

 

微かに触れただけでも鰻のヌルついた体の感触は生々しいほど不二子に伝わってくる。

不二子はその度に辛うじて水上に留まった頭と髪を左右に振り乱し、仰け反らせ、くすぐったいような悲鳴を

連発する。

ゴム板には相当強力な熱源が仕込まれているらしい。

みるみるうちに、水温は上昇し、本来であれば熱せられた温水は水面に向かって上昇していく筈であるが、

鰻達の狂騒が水槽に張られた水を強引に掻き乱し、偏りがちの水温を強引に平準化させる。

そして、水温の上昇に伴い、鰻達は少しでも温度の低い場所を探そうと、水中に吊られた不二子の身体を逃げ場に

しようとしているかのように、彼女の身体にまとわりつき始めた。

 

「いやっ!!ひぃぃんっ!!!!いやよぉぉ!!離れて!!よってこないでぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

殆ど身動きままならない身体を上下左右に懸命に揺すって不二子はなんとかまとわりつく鰻を振りほどこうと

するが、必死なのは鰻達も同様であった。

時折運の悪い鰻が振り回れる不二子の膝先や爪先で弾かれるが、生存本能を剥き出しにした彼らは、そんなことは

意にも介さぬ様子で次々に不二子の身体に群がってくる。

テカテカと光る鰻達の表皮と尾部が不二子の搾り出された胸を、背筋を、腋を、脇腹を、臍を、腰を、太腿を、

脹脛を、擦り、撫で、小突き回す。

敏感な部位を鰻の生ぬるくヌメヌメとした胴体で微妙な強さで擦られ、小さな頭部で突かれると、

おぞましさと共にたまらないくすぐったさが込上げてくる。

 

「ひぁ!!ひっ!!っひ!!んひぃぃぃ!!!!!!」

 

奇怪な悲鳴を上げながら身悶え震える不二子をよそに、鰻達は懸命に刻々と上昇を続ける水温からの逃げ場を

探し続け、大きく広げられた不二子の肢体を隅々までまさぐっていく。

その様子を水槽の外から眺めると、ハイヒールと首輪をまとった上に縄化粧を施された白い女体に、

どす黒い何本もの新たな縄が次々に掛けられ、全身を覆ってゆくかのようだ。

事実、不二子の敏感な肌のかなりの部分は、粘液質な光を放つ鰻の胴体に弄られ続けている。

それは、不二子にとっては粘液をたっぷりと付けた数十、数百の手で、全身を揉まれ、撫で回されているような

ものであった。

特にそれが、うなじや腋の下、背筋や脇腹等くすぐったい場所の場合、不二子は耐え難いくすぐったさから

縛られていることを忘れ果てたかのように身体を暴れさせ、水中で搾り出された乳肉がブルンブルンと大きく泳ぐ。

 

 

「いひゃあ!!!!くっ・くすぐったい!!やめてぇ!!!!くすぐったいわよぉぉぉぉ!!!!!!」

 

もちろん鰻達の目的は彼女にくすぐったさを味合わせることではない。

彼らはただ、逃げ場となる『穴』を探しているだけなのである。

そして不二子の全身をくまなく突付き回しての捜索の結果、遂に一匹の鰻が『穴』を発見した。

 

「えっ!?きゃあぁぁぁ!!!!!やっ・やだ!!入ってこないでぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

不二子の絶叫も空しく、一匹の鰻が彼女の全開にされた股間にある『穴』、つまり膣口に押し入ってきたのである。

不二子は蜜壷を締めようと懸命に力むが、全身を這い回る鰻達がくすぐったい刺激を敏感な部位に与えると

思わずガードが下がってしまう。

不二子の秘部に頭を突っ込んだ一匹の鰻は意図しない仲間の助けを受け、ぬめる身体をくねらせ、回転し、

のた打ちながら彼女の肉襞にこれまで味わった事のない不気味な感触を刻みつつ、更に奥へと身体を進める。

 

「あ!!あっ!!あぁぁ!!!いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!きっ・気持ちわるい!!!!!」

 

だが、言葉とは裏腹に、明らかに不二子の身体はその異様極まりない感触を快楽として認識し始めていた。

軟体生物のヌルヌルとした感触が熟れた媚肉を存分に掻き回し、これまでとは明らかに異なる艶っぽい悲鳴を

不二子に迸らせる。

 

「うあっ!!あ・あああっ!!!!!ひっ!?ひぃあっ!!う・動いてる!!な・中で・・動いてるぅぅぅ!!!

いやっ!!いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

そして他の鰻達も一匹の仲間が見つけた『穴』の存在に気付き、そこへ殺到し始めた。

水にそよぐ恥毛、既に一匹の鰻を飲み込み口を明けた膣口、パックリと花開いた肉びら、薄皮の剥けた肉芽、

一斉に不二子の股間を目指した鰻達は、押し合い圧し合いながら場所も強さもと考えず、ひたすら突進し、

そこを小突き回す。

 

「ぐぁ!!うぅぅぅっ!!!うあっ!!ぎゃっ!・やめ・・ひぎぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」

 

狂騒の中から抜け出た二匹の鰻が殆ど同時に、一本の鰻を咥え込んでも未だスペースのあった恥唇から

新たに侵入したのである。

流石にそれは一匹目の時ほどスムーズに行かなかった。

しかし、二匹の鰻はヌルヌルとぬめる胴体を最大限利用しながら柔かい媚肉を強引に割り裂き続け、

不二子に引きつった悲鳴を上げさせる。

膣の中で三匹の鰻が好き勝手に暴れ回り、肉襞を抉るように蠢いているのである。

最も敏感でデリケートな『穴』を引き裂かれそうな苦痛の中でも、その快楽と呼ぶにはあまりにあさましい刺激は

圧倒的であった。

唯一水上にある不二子の頭がガッと反り返り、唇からは媚声と嗚咽、そして悲鳴が耐えることなく噴出する。

 

「どうじゃ?当家自慢の鰻の味は。じゃが・・・お主ならまだまだ腹一杯には程遠かろう。」

 

老人が呟くようにそう言い放った。

だが、不二子にはそれに答える余裕などどこにもない。

しかも、事態は老人の言葉を裏付けるように、更に過酷な状況へと不二子を追い詰めようとしていた。

三匹の鰻を咥え込み、息も絶え絶えに悶絶し続けている不二子の尻穴周辺を先程から突付き回していた鰻が、

もう一つの『穴』の存在に気付いたのである。

鰻にとって躊躇する理由はなかった。

その鰻は思い切り良く不二子の菊蕾に向かって突進した。

 

「ああっ!?んっ!んふっ!!!!!おぉぉっ!!!!!!」

 

蕾のように固くすぼまった後穴をヌルリと柔かく、生ぬるい物体が侵入し、不二子の喉奥から新たな絶叫が

搾り出された。

不二子は反射的に身動きすらままならない腰を必死に振りながら懸命に後穴を締め上げようとする。

 

「ひぎっ!!ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

 

だが、不二子が菊蕾を力一杯引き締めた瞬間、3匹の鰻を呑み込んでいた秘奥がこれまでにない鋭さと獰猛さで

甘い快楽の電流を迸らせた。

肛腔と膣腔を引き締める筋肉は連結されており、必然的にその運動はリンクする。

鰻の思わぬ侵入に反射的に菊門を窄めた結果、鰻を詰め込んだ秘所も同時に締め付けることになり、

暗く湿った湿地帯に目一杯まで詰め込まれた3匹の鰻はその苦しさに細長い胴体を押し合い圧し合いながら

必死で身を捩る事になる。

そして、苦しげにウネウネと蠢き続ける鰻達を包み込む敏感な不二子の柔襞は表現し難い異様な刺激を

真っ向から受け止める結果となったのである。

 

「あひぁ!!ひ・ひぐっ!!うあああっ!!!!!!」

 

しかし、原理は分っていても、排泄器官と直腸内を男根とはまったく感触も動きも異なる水棲生物に嬲られれば、

肉体は肛腔に対して反射的な防御反応を強要し、同時にそれは秘所に対して快楽を倍増させることを意味する。

その度に不二子は美しい眉をたわめ、食い縛った歯と歯の隙間から押し殺しきれない嬌声を噴出す。

殆ど無限地獄とも呼ぶべき凄惨な責め苦に喘ぐ不二子を横目で見ながら、老人と男達は酒盛りの準備を始めた。

不二子にノックアウトされた孫とその友人達も呼ばれ、その宴席に加わる。

冷たい地下室の床にゴザが敷かれ、その上に並べられた酒を呑みながらハイヒールと首輪、そして身体をM字型に

拘束する荒縄をアクセサリーに水中でたわわな肢体を捩らせる不二子の狂態を楽しむのである。

そしてその酒盛りにおける不二子の役割は、屈辱と恥辱に満ちた自らの痴態を男達に“酒の肴”として提供すること、

それだけであった。

 

「あっ!うあっ!!ひっ!!ひぎぃ!!!!イ・イクっ!!イク・イクぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!」

 

先程から殆ど叫びっぱなしの為に嗄れはじめた不二子の声が更なる熱と艶を帯び、身体を絶え間ない快楽の奔流で

ガクガクと揺らした不二子の頭が大きく後に仰け反った。

仰け反ったまま数瞬ピクピクと熟れた身体を痙攣させると不二子はガックリと頭を垂れかけたが、

純粋なまでの生存本能と競争原理に突き動かされる鰻達は絶頂の余韻に身を任せようとする彼女に

休む暇を与えようとしない。

絶頂の瞬間にキュッとすぼまった膣腔と肛腔に押し潰されそうになった4匹の鰻は、その仕返しとばかりに

肉襞と直腸を執拗に抉り続け、そして未だ温度を上げ続ける水中から逃げ場を見つけられない大多数の鰻達もまた

そのヌルヌルとした胴体と頭部で不二子の全身を執拗に突付きまわし、まとわり付き、擦り付ける。

 

「う・・・あ・あ・ま・また・・いっ・いや!!いやよ・・た・たすけて!!!!」

 

不二子の意思と叫びとは裏腹に、蹂躙され続ける秘奥と菊門、そして敏感な全身の性感帯は鰻達から送り込まれる

“動き”を快楽として再び貪り始めた。

 

「どうじゃ?お前達がどれほど腰を振ろうと、鰻達には敵うまいて・・・」

 

老人が隣に座った孫息子にいつもと変わらぬ口調で話し掛けた。

 

「そ・そうだな・・・」

 

だが、孫息子は老人の言葉も半分耳に入らぬ様子で絶え間ない快楽と苦痛、そしてその様子を男達に

鑑賞されるという極彩色の恥辱に彩られた無限地獄に落ち込み、悶絶する不二子にギラついた視線を送っている。

股間から四本の鰻の尾部を尻尾のように垂らし、ほっそりとくびれたウェストにも、輝くような象牙色の太腿にも、

ボールのように搾り出された乳肉にも、例外なく無数の鰻達がたかり、擦り付けるようにまとわり付いている。

辛うじて水面にある不二子の美貌は今やはっきりと分るほど上気し、肉体の中と外から責め立てる水棲生物に

対する嫌悪感でたわめられた眉の間から滝のように汗が流れ落ちる。

水中にあるというのに彼の趣味で与えられたハイヒールと首輪でデコレーションされた極上の肉体が

グロテスクな異形の生物に弄られる様はあまりに圧倒的であった。

 

「ひぎぃぃぃぃぃ!!!!!!ぅ・ああっ!あふぅ!だ・だめ・・だめぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

そして、不二子が頭を狂ったように振りながら上げ続ける悲痛さすら漂わせた媚声。

聞く者の征服感と嗜虐感を酔わさずにはいられないこのような叫びは、彼が一週間犯し続けても決して

得られなかったものだ。

 

「爺ちゃん。この後、どうするんだ?」

 

「なにも。まずはこの女に鰻に対する恐怖を植え付ける事じゃ。そして鰻への恐怖は

容易にワシらに対する恐怖として刷り込まれる。」

 

「なら・・・その為にとっても効果的な方法を一つ考えたんだけど・・・」

 

不二子の嬌声を余所に、孫息子はそう言うと、あれこれと老人に耳打ちした。

 

「ほぉ・・・お主も少し考えるようになったのぉ。良いじゃろう。やってみなさい。」

 

孫の考えに、老人はその場に相応しくないほどの爽やかな笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

「あ・・あっ!!・・・も・もう・・・やめ・はぐぅ!!・・ぅ・ううっ!!・ゆるして・・・ぅひぃぃぃぃ!!!」

 

既に不二子の精神回路は度重なる絶頂の連続に完全にショートし、快楽を苦痛としか認識できない状態に

陥っていた。

しかし、鰻達は一向に活動を収める様子もなく、不二子の全身を舐めるように、そして抉るように弄り続けている。

 

「ほぉ、随分と色っぽい声で鳴くようになったじゃねぇか。」

 

不二子が声の方に視線を上げると、そこには頬に張られた大きな絆創膏も痛々しい姿の孫息子がニヤニヤと

笑いながら彼女を見下ろしていた。

不二子が悶え苦しむ間に、彼は水槽の横に脚立を立てていたのである。

水槽を上から覗き込むような姿勢の彼に向かって不二子は必死に哀願する。

 

「あがっ!!ぐぅ!!!!た・たすけて・・・lお願い・・おっ!!あふぅ!!!!!」

 

「ざまねぇぜ。お前のお陰で歯が4本も折れちまったしな。」

 

だが、孫息子はあくまでニヤニヤとした笑いを崩さない。

 

「ゆ・ゆるし・・・ひっ!ひぎぃぃぃ!!!!ゆるしてぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

「へへへ・・・おい、上げてやりな。」

 

ようやく彼が指示すると、チェーンブロックがジャラジャラと耳障りな金属音を立てながら引かれ始める。

そして、不二子の身体が1時間以上ぶりに水上に現れた。

 

「あうっ!!ぬ・ぬいて!!早く!!これを抜いてぇぇぇぇ!!!!!」

 

不二子の下半身が水面から現れた瞬間、不二子の膣内と直腸に潜り込んでいた四匹の鰻が異常に気付き、

狂ったように暴れ始めたのである。

薄暗い地下室であっても、鰻達の身体がギラギラと輝きながら宙を暴れ回る様子がはっきりと見て取れる。

不二子は懸命に腰を振って鰻達を振り解こうとしたが、鰻達の懸命な行動故か、不二子の肉襞の締まり故か、

鰻達は執拗に不二子の体内に留まり続けた。

すると突然、孫息子の手が伸び、宙を舞う鰻の尾部を掴み取ると、一気に引き抜いて床へと放り投げる。

 

「ひぃっ!?あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!」

 

必死にその場に留まろうと胴体をくねらせる鰻が柔襞を極限まで掻き回しながら強引に引き抜かれ、

不二子は半ば白目を剥きながら情けない悲鳴を上げた。

完全に快楽が飽和状態となり、絶え間なく痙攣を繰り返す不二子の身体はその間にも更に上昇を続け、

脚立の上に立つ孫息子よりも更に高い位置まで吊り上げられる。

 

「パックリ開いてるぜ。前も後も、な。」

 

手を伸ばせばちょうど届きそうな位置に固定された不二子の秘所をしげしげと眺めながら孫息子は言う。

彼の言葉通り、鰻を咥え込みんだまま一時間以上、その為すがままにまかせた不二子の秘唇と菊門は

無惨に口を開いたままビクビクと蠢き、その度に入り込んだ水槽の水と彼女の蜜汁の混合物がポタポタと

垂れ落ちている。

 

「はぁ・・はぁ・・ぁぁ・・・ぅ・・・ぅぁ・・・・・・」

 

ようやく一息付くことができた不二子は荒い息と呻きを溢しながらグッタリと項垂れている。

しかし、その時間はあまりに短かった。

何の予告もなく再びチェーンブロックが動き出し、不二子の身体が今度はゆっくりと水槽に向かって

下降し始めたのである。

 

「ま・まって!!やめて!!もう鰻はいやっ!!鰻なんていやよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 

それに気付いた不二子は美貌を蒼白に染め、M字開脚されたままの身体を振り乱しながら半狂乱になって叫ぶ。

だが、彼女の手脚を拘束する荒縄は水分を吸ってますます彼女の身体への密着度を高め、

解くことなど思いもよらなかった。

全身を剥きだすような卑猥な姿勢のまま吊り下げられた肉体が、前後左右に無様に揺れる事にかならない。

不二子はその様子を冷笑を浮かべて見送る孫息子に声を限りにして叫んだ。

 

「お願い!!助けて!!!!なんでもする!!!!

あなたのしたい事ならなんでもするから!!やめさせてぇぇぇ!!!!!!!」

 

「おやおや、随分と殊勝になったじゃないか。だがな、オレは鰻と戯れるお前の姿をもっと見たいんだよ。」

 

自らを靴底で踏み付けた女が示す哀願にようやく溜飲を下ろした彼はそう言うと、ニタリといやらしい笑みを

浮かべた。

 

「この・・この人でなし!!!!覚えてなさいよぉぉぉぉ!!!!!・お!?・お・・おぁぁぁ!!!!!!」

 

不二子は最後まで啖呵を切ることはできなかった。

そのセリフの間に不二子の身体は水槽内に再び沈み込み、そこに待ち受けていた鰻達が一斉に殺到したのである。

これまで散々にお預けを食わされた鰻達は最初に水中に入り込んできた不二子の下半身へと一目散に突っ込み、

迷うことなく目的とする二つの肉穴に侵入しようとする。

その鰻達は、先程まで不二子の肉襞にギュウギュウに締め付けられたまま一時間も暴れ続けた結果疲労した鰻達とは

明らかに異なり活力に満ちていた。

しかも不二子の肉唇は陵辱の名残を生々しく残し、だらしなく開いたままである。

今度は先程より1匹多い4匹の元気な鰻が不二子の秘所に雪崩れ込み、押し合い圧し合いながら、奥へ奥へと柔襞を

掻き分けていく。

もちろん菊蕾も無事でいられない。

収縮力が落ちた肉門にまたしても一匹の鰻、それも他の鰻達より大ぶりな一体が侵入してきたのである。

狼狽する時間もないほどの短時間でびっちりと二つの肉穴を埋められた不二子は、ビクンビクンと肢体と柔肉を

跳ねさせ、狂ったように泣き喚くしかない。

 

「なぁに・・・鰻達にたっぷりと可愛がってもらえばお前が先に忘れるさ。」

 

鰻達に“輪姦”される不二子を見下ろす男は満足げに笑う。

既に彼の中では、この後の計画も出来上がっていた。

何の事はない。

咥え込んだ鰻が疲労してくるまでこのまま放置し、疲労してきたら再び引き上げ、鰻を引き抜いて水槽に戻す。

それだけのことである。

男はこれを水槽から一匹の鰻もいなくなるまで執拗に続けるつもりであった。

 

 

 

 

 

三十分後、再び水槽から不二子が引き上げられ、今度は悪友の一人が脚立に登り、秘所と尻穴の鰻を引き抜いた。

引き抜かれた鰻達は今度も床に放り投げられる。

 

「へへへ・・・まさに“鰻の女体釣り”だな。“餌”が極上だから鰻の喰い付きも最高だぜ。」

 

そんな下卑たセリフしか発しない男達に助けを求める事の愚を悟ったのか、今回、不二子は恨めしげに男達を

睨みつけるだけであった。

そして彼女の身体は三度水中へと沈んだ。

 

(恐らく当分は助けを求めてこないだろう。)

 

僅かに顔色を青ざめさせた以外は、ある種毅然とした態度を崩さないまま水槽に逆戻りする不二子の姿を見ながら

孫息子である男はそう思った。

 

(だが、それも長くは続くまい。)

 

水槽の中には未だ50匹近い鰻がいるのである。

同じ要領で4匹、5匹ずつ鰻が水中から姿を消したとしても、あと10回以上、同じことを繰り返さなければ

水槽から鰻の姿はなくならない。

恐らくあと数度で耐え切れなくなった不二子は再び男達に哀願するはずだ。

その点について、彼には不思議なほど自信がある。

しかし、彼にはそれで不二子を許すつもりはさらさらなく、言葉でさんざんに弄りながら最後の一匹まで

水槽の中の鰻を前と後の肉穴で咥え込ませるつもりであった。

 

(最後の一回には鰻を引き抜いてやる前に、全員でたっぷりと上の唇に咥え込ませてやるか・・・)

 

復讐心に彩られた薄暗い情熱をたたえる孫息子の耳に、水槽の中からまたしても不二子の押し殺しきれない悲鳴が

届き始めた・・・